雨垂れ前奏曲

前編


「どうして……何故こんなことをするの。私たちが何かした?
 答えなさいッ!」
 今にも泣き崩れそうな表情で、女の子が叫んでいた。
 彼女の正面には玉座が二つ、並んでいる。ひとつは空っぽだが、もうひとつには——
「貴方は最後の生け贄なのです、ゼルダ」
 男が座っていた。紅いベールを被った、端整な顔立ちの。見た目は神に仕える者のごとく清らかなのに、なぜだか嫌な雰囲気を醸している。
 ゼルダと呼ばれた少女は思い切り眉をしかめた。舌でも出さんばかりの調子だ。
「そんなの、答えになっていないわ。それと、いつ呼び捨てでいいって言った?」
「手厳しいですね」
「当たり前。お父様をどこへやったの」
 人も殺せそうな視線を突き刺しても、男は動じない。ベールからわずかに覗く唇が弧を描いた。
「こことは違う世界へ」
「……!」
 一瞬強ばっていた目元がほどけかけるが、少女は頬を噛んで無理矢理厳しい表情を保った。
 気づけば、彼女は幽霊のように忍び寄ってきた兵士らしき者たちに囲まれていた。一瞥を投げ、ひゅうっと息を吐く。
 男は手を水平に引いた。
「地下へ連れていきなさい」
「あーら、乙女に縄かける気かしら。そんな野暮なことしなくたって、抵抗なんてしないわよ」
 軽くおどけてみせてから、彼女は堂々と肩を張って兵士たちの前を歩き出した。退出する直前、振り向きざまに人差し指を玉座に向かって突きつける。
「そこはアンタの座る場所じゃない。……いつか、必ず引きずりおろしてやる」
 男は心底おかしそうに笑った。



「……はあ」
 すっかり目が覚めてしまった。見上げた天井は闇に沈んでおり、わずかな光に照らされて木目が魔物のように見える。
 妙に臨場感のある夢だった。女の子の迫力のある睨みが、今でもまぶたの裏に焼き付いている。
 屋根を雨が強く叩いていた。時折ゴロゴロと不穏な雷鳴が響く。今夜は嵐だった。
 夢。あれは何の夢だったのだろう。
 僕の夢には、よくおじさんが出てくる。一緒に住んでいるのに、夢でも会うのは変な気分だ。ごくたまに、僕が物心のつく前に死んだ、顔も覚えていない両親も一緒にいた。内容は覚えていないが、目覚めたときのふわふわとした感覚が印象に残っている。
 しかし今日の夢は、そのどれでもない。おおよそ自分の思考回路の、どんな延長線上にもありそうにないシチュエーションだった。
 彼女は何について話していたのか? あの場所はどこだ? 気になる箇所は多々あれど、一言で片付けてしまおう。
(変な夢だったなあ)
 すっかり眠れなくなってしまった。ついでに喉が渇いていることに気づく。ここで布団を抜け出すと、戻ってきたとき余計に寝付きが悪くなるが、仕方ない。嵐に備えておじさんが汲み置きしてくれていた水があるはずだ。
 おじさん——?
 何かひっかかりを感じた。そうだ、おじさんの寝息が聞こえないんだ!
 急いで隣のベッドを確認する。やはりもぬけの殻だった。この嵐の中、一体何処へ行く必要があるのだろう。
 そういえば、おじさんは何故かこの嵐を予測していた。だからこその汲み置きだ。寝る前にはわざわざ「危ないから外に出るな」と言い残している。門限が異様に厳しい我が家で、そんな事態はあり得ないのに。
「……おじさん」
 返事があるわけもなく。ふと思い当たって、雨具を確認してみる。やはりおじさんの分だけが一式、そっくり消え失せていた。カンテラも行方不明。間違いなく、雨の中に出かけていったのだ。
 調べるうちに、他にも足りない物があることに気づいた。剣と盾だ。
 昔、おじさんは足を怪我する前、お城で騎士をしていたらしい。現役のとき使っていた剣は王様から直々に賜った物らしく、居間の壁に大事に飾ってあった。どんなきらびやかな勲章よりも、誇らしげに。
 それが忽然と姿を消している。「この剣を鞘から抜くときは、王を、ひいてはハイラルを守るときなのだ」——熱い瞳で語るおじさんを思い出す。
 まさか、城へ?
 ここに二つの選択肢がある。追いかけるか、追いかけないか。
 僕は自分の分の雨具を用意し始めた。



 いつもどおりの、お城への道。しかし全く別の場所のように感じる。それは時間帯と天候、そして僕の心境のせいだ。
 足元はぬかるんでいて歩きにくいし、雨で視界が悪い。傘は邪魔になるから置いてきた。代わりに雨避けの外套だけ頭から被っている。
 この時間になっても、お城の正門前には夜警の兵士が詰めているだろう。ならば、団長さんに教えてもらったあの地下道から入るしかない。彼に不法侵入の手引きをさせたようで申し訳ないが、何しろ非常事態だ。バレないようにこっそり任務を遂行することに努める。
 ——いや、本当はあの道の存在自体は前々から知っていた。おじさんが度々口にしていたから。
 雨に紛れて正門の見張りをやり過ごし、植え込みに隠された抜け道に滑り込む。暗い。やはり灯りを持ってくるべきだったか。
 外套を軽く叩いて雨粒を振り払う。音をたてないように用心して、すり足で進んだ。
 この道がお城のどのあたりにつながっているのかは見当もつかない。もっと前に訊いておけば良かった、と反省する。団長さんがこっそり抜け出せるくらいだから、目立たない場所に出てくれるはずだけど。
 お城が近づくにつれて、徐々に明かりが増えてきた。が、運悪く人影を発見する。兵士だろうか。歩みを止めて様子をうかがう。膝を折っているのか、背丈は少し低かった。こんな場所に座り込んでいるのか?
 息を殺して一歩、二歩と踏み出した。三歩目でうっかり小石を蹴飛ばしてしまい、舌打ちしたい衝動にかられる。案の定座り込んだ人物が反応を示した。どんな叱咤も甘んじて受けようと腹をくくって——目を見開いた。
「お前、か……」
 この声は。ずいぶん掠れてしまっているけれど、いつもすぐそばで聞いていた。
「おじさん!?」
 外套を放り出して、正面に座る。傍らに転がったカンテラの炎がチラチラ揺れた。その仄かな光を受けたおじさんは……目に見えて致命傷を負っていた。胸のあたりに刃物で斬り裂かれた跡があり、黒い染みが服に広がっている。常に持ち歩いている手巾をとっさにあてがい、止血しようとしたが、手が震えてうまくいかない。
「ど、どうして」
 こんなことに、と続けたはずが、喉が締まってうまく口にできなかった。頭の中が真っ白で、行うべき適切な処置が全く思い出せない。怪我の手当なんて基本中の基本だ。おじさんの教えは厳しかったけど、確かに自分の糧になっていたはずなのに。本当に大事なときに使えない知識に何の意味があるんだ?
 為すすべもない僕の目の前で、苦しそうに表情を歪め、おじさんは声を絞り出す。
「嵐が来ると、言ったよな」
 かろうじて頷く。わかるようにずぶ濡れの外套を指し示したが、おじさんは見向きもしない。天候とは違うことを暗示しているようだった。
「それは、どういう『嵐』なの?」
「ハイラルにとっての嵐だ。予想はしていたが、私には防ぐことができなかった……。
 いいか、よく聞け。司祭のアグニムによって国王は弑され、ゼルダ姫は地下で囚われの身になっている。城の中はアグニムに操られた兵士だらけだ」
 国王が、殺された? 突然与えられた情報に感情が追いつかない。それなのに、脳味噌は勝手に話を整理していく。
 アグニムは最近城に赴任したばかりだった。しかし国民のどの層からの支持も厚い。僕の仕事の依頼者からも、彼の良い噂は伝え聞いていた。そんな人物が反乱を起こすとは、誰だって夢にも思わなかっただろう。
 ——違う、考えたいのはそんなことじゃない。縋るように顔を上げると、おじさんは見たこともないような優しい笑顔を浮かべていた。
「お前だけが頼りなんだ。ここまで丸腰で私を追って来たのは、大した勇気だ。これなら大丈夫だろう。
 剣を持って行け。私のことは放っておいていいから。……ゼルダ姫を、この国を頼む」
 それだけ言って、おじさんは首を折った。不自然なほどゆっくりと。
「お、おじさんっ!」
 肩を揺さぶっても、虚しくガクガク揺れるだけ。二度と返事はなかった。
 そんな……。
 膝をついたまま、しばらく呆然としていた。焦点の合わない目に、おじさんの身につけていた剣と盾が映る。伸ばした手が無機質な武器に触れた。
 おそるおそる鞘から抜き、ぬらりと光る刀身を手にした。僕が自在に操るには少々長くて、重すぎる。騎士にならないか、という団長さんの言葉が頭をよぎった。
 力を込めて無理矢理立ち上がり、まだ足を踏み入れたことのない城内へと目を向ける。
 こんな僕が国を守れるとは、とても思えない。でも、遺言はできる限り守ろう。そして——おじさんに剣を振るった相手を見つけ、敵を討つ。
 未来は暗闇に塗り潰されて、明日さえも見えない。




後編


 暗い暗い地面の下で、私は静かに時を待っていた。
 揺れる燭台の炎を見上げる。わずかに空気が流れているのだ。しかし音はない。
 この場所に放り込まれた直後から、ずっと脱出することだけを念頭においてきた。惜しむらくは、見張りを籠絡できるだけの色気を、私が持ち合わせていなかったことだ。
 ——いや、それは冗談だけど。それに、たとえ色香で惑わせようとしても、徒労に終わったかもしれない。一抱えもある鉄球を持ったこの見張り、動作が人間離れしていた。何時間もあの重装備で立ったままいられるのはおかしい。そんな根性のある兵士がいたら、私が見逃すわけがないのだ。アグニムの反乱後、知った顔は一人も見かけていなかった。得体の知れない魔術でアグニムが召還したのだろうか。
 いつの間に、誇り高きハイラル城は伏魔殿に成り下がったのだろう。あの恩知らずな司祭を受け入れた時点で、神に見放されていたのかもしれない。
 だが、今はそんなことはどうでもいい。あいつを追放することだけを見据えて行動せねば。
 俯きがちだった首を持ち上げ、忌々しい鉄格子を親の敵と思って睨みつける、はずだった。
 鉄格子に付いていた唯一の扉が破られている。誰の手によって? 決まってる、目の前の少年の仕業だ。
 剣と盾を背負い、普段着としか思えない緑色の服を身にまとっている。長めの金色の髪に、表情の読めない青い瞳。騎士の従者あたりだろう、と推測する。
 うれしさに持ち上がる口角を抑え、私は努めて冷静に歓待した。
「まあ、助けにきてくれたの? ありがとう。あなた、名前は」
「名乗るほどの者ではありません。ゼルダ姫ですね」
 その答えに痺れるような感銘を受けた。「名乗るほどの者でも」ですって! 名乗り甲斐のある称号を持つ私には、逆立ちしてもできない答弁だ。
「ええ、私がゼルダよ。ここには見張りがいたはずだけど……」
「……。倒しました」
 一瞬彼の目が泳いだのは気のせいに違いない。あの鉄球兵士を一人でやっつけてしまうなんて、なんと頼もしい味方なんだろう! 脱出後は彼を近衛に大抜擢することも視野に入れておく。
「いつまでもこんな場所にはいられないわね。一旦城から出ましょう。体勢を立て直すわ」
「何か手が?」
「玉座の間に……いや、行けば分かるわ。連れてってくれる?」
 恭しく手を差し出す。彼はきょとんとしてから、手を握り返してきた。
 いや、そういうわけじゃなくてね。「お任せくださいゼルダ様!」とか「私が姫を守ります!」みたいな美辞麗句は期待しないから、せめて淑女に対する扱いをして欲しかったというか——あ、ちょっと置いていかないでよ。なんで一人で行くの!?
 頬を膨らませて追いかける。彼の足は速かった。
 少し頼りないけど、その背中は昔話に出てくる勇者様に見えた。



「下がってください」
 階段を駆け上り、一階の大広間までやってきた。絢爛豪華な城内も、警備兵たちの無骨な鎧姿のせいで台無しだ。指示の通りゼルダは足を止めて身をかがめる。彼も物陰から様子を窺っているようだ。緑の鎧を着た兵士(鎧の色によって階級が分かれる)が鈍重な動きで徘徊しているのが見えた。
 いよいよ彼の剣術にお目にかかれるのね! わくわくしながら見守る。
 彼はじっくりタイミングを図っている。あれはおそらくゲリラ戦法ね。敵に顔を見られるとまずいもの。
 ……予想はハズレた。彼は背中の剣には手を伸ばさず、無言でどこからともなく小振りのツボを取り出し、頭上高く持ち上げた。とても高価そうな逸品だけど、見覚えがあるような。
 ガチャン! 放り投げられたツボは見事に命中した。兵士はしばらく無意識の彼方で彷徨っていてくれるだろう。
「キミさ、あのツボどこから持ってきたの」
「お城ですけど……あ」
 途端に酢でも飲んだような顔をしてくれた。
 そりゃそうよね。あんな高級品がそのへんに転がっているわけないもの。しかし、よく考えたものだ。兵士はその価値を知っているがゆえに、ツボを受け止めざるを得ない。一方、彼は被害額などちっとも気に止めず、攻撃に利用する。相手の善意を利用した最悪のコンビネーションだ。
 ケチをつける気はないけれど。意地悪とは思いつつ訊いてみた。
「ね、あのツボがいくらするか知ってる?」
「……」
 大丈夫、私も知らないから。



「着きましたよ、玉座の間です」
「早かったわね。よし、アグニムの奴もいないわ」
「アグニム……」
 意外にも、彼まで苦々しくその名をつぶやく。
「あれ、奴を知ってるの? 司祭のクセに王位を簒奪するなんて生意気よね」
 彼は答えない。触れちゃいけないところだったのね、話題を変えましょう。
 玉座の裏に回り、二振りの剣が彫られた大きなレリーフを指さした。
「これを横にずらすと……なんと! 城の外にある教会への抜け道が現れるの」
「へー」
 いかにも気の無さそうな返事だこと。お世辞でもいいから感心してみせなさいよ。
 何を思ったか彼はレリーフに近寄り、コンコン叩いてみた。
「これ、相当重そうですけど。二人で押すんですか」
「当たり前でしょ。女の細腕じゃあどうやったって無理ね」
「じゃあ、いざという時には使えませんね」
 ……なるほど。それは盲点だったわ。恥ずかしさを雲散霧消すべく、レリーフに手をかける。
「じゃあ押すわよ。せえのっ」
 ズズズ、と案外スムーズに動いてくれた。開いた入り口を見て、あっと息をのむ。
「しまった」
「どうかしました?」
「この道暗いのよ。明かりを忘れたわ」
「カンテラならありますよ」
「あら、準備がいいわね」
「準備がいいのは僕じゃないけど」
「へ?」
 再び無言。さっきから何なのよ。自分で用意してないということは……ま〜たどこかで盗ってきたわけじゃないでしょうね、それ。
「じゃあ、離れないように」
 す、と左手をさしのべてくる。危ないから手を繋いで歩こう、ということかしら。顔色をうかがっても、どうも下心はないらしい。大胆だ無礼だと文句を言うことはできたけど——ほんの少し嬉しく思っている自分がいる。
 い、異性の手をまともに握るのは、これが初めてなのよね。そう思うと急にドキドキしてきちゃった。手のひらに滲んだ汗をワンピースの裾で拭う。
 しずしずと進み出て手をとった。舞踏会ならこれから一曲踊るところだが、状況が違いすぎる。私は逃げるのだ。
 空の玉座を一瞥する。次ここに帰る時は、私が王になったときだ。それまでに反逆者なんて振り落として待っていなさいよ。
 私はもう振り返らなかった。
 時折鼠の鳴き声が聴こえてくる他は、いたって静かな抜け道だった。ただ足元が濡れるのは鬱陶しい。王城に張り巡らされた水道を利用しているので、仕方ないのだが。
 彼には鼠の撃退という仕事があるが、私の方は何分暇だ。ついつい考え事ばかりしてしまう。
 目の前で煙のごとく消えてしまったお父様は、一体どこへ行ったのか。冷静になって思い返せば、アグニムは「こことは違う場所に行った」としか言わなかった。これはヒントではなかろうか? そうだ、『こことは違う場所』があの世とは限らない。律儀なあいつのことだ、わざと区別したのだろう。『最後の生け贄』というのにも、いまいちピンときていなかった。今時生け贄を使うなんて、どんな暗黒儀式を企んでいるんだろう。挑発ばかりにかまけていないで、もっと情報を聞き出しておけばよかった。
 地下に囚われ同じくらいの年の男の子に助け出され、身一つの逃避行。この双肩にはハイラルの未来がかかっている。まだ成人だって迎えてない小娘なのにね。いくらお姫様でも、それって少し荷が勝ちすぎてると思わない?
 ああ、お父様。今ここにいてくだされば、それだけで私は頑張れるのに。あの叱咤激励の声が恋しいです。遠征中の騎士団長とも合流したいわ。乳母のインパはどこに行ったのかしら。
 私がしっかりしなきゃ。私が、ハイラルの明日を担うんだから——
 自然と手に力が入る。前を行く彼が息をのんだ気配があった。
「お願い……振り返らないで」
 今の声、変だったかな。でもね、涙でぐしゃぐしゃの顔なんて、初対面の人に見られたくないでしょ?
 いよいよ嗚咽が漏れたところで、彼は立ち止まった。
「ここで、少し休憩しましょう」
 気遣うような優しい声。歩きづめで足が棒のようになっていた私には、ありがたい申し出だった。さっそく彼に背中を向けて座る。
 ぐすん、すん、すん……。静かなので、鼻をすする音がよく響く。ああやだな、早く泣き止まなきゃ。
 横目にちらりと、彼がぎこちない手つきで肩から鞘を外す姿が見えた。
「意外と、繊細なんですね」
「え、何?」
 うまく聞き取れなかった。そのまま淡々と彼は続ける。
「そこはアンタの座る場所じゃない。……いつか、引きずりおろしてやる。
 ——なんて言うものだから、どんな方かと想像をたくましくしていました」
「はあっ!?」
 すっとんきょうな声が上がる。一瞬で涙なんて吹っ飛んでしまった。「静かに」とたしなめられて、慌ててトーンを下げる。
「な、な、なんで君がそれを」
「大丈夫です、今は十分お姫様に見えますよ」
「そういう問題じゃないっ」
 軽く問答したが、はぐらかされてしまった。本当に、なんでそんなこと知ってるの……。
 それじゃ行きましょうか、と肩を叩かれて初めて気づいた。ついさっきまで泣いていたことが嘘のように、私はすっかり微笑んでいたのだ。
 互いによく知らない者同士でも、こうして笑いあえる。未来にも、少しだけ希望が見えた気がした。

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